モルタル外壁を長持ちさせる!ひび割れを防ぐメンテナンス術
モルタルを用いた外壁はデザイン性が高く、外壁材の間に目地が生じない構造のため、一般的なサイディングのようにコーキングを打ち替える必要がないという利点があります。
一方で、年月の経過とともに表面の塗膜が持つ防水性能は徐々に弱まり、その結果として雨水の浸入やひび割れなど多様な不具合を招くおそれもあります。
こうした問題を未然に防ぐには、モルタル外壁の特性を理解し、適切な点検や塗り替えなどの維持管理を計画的に行うことが欠かせません。
本記事では、モルタル外壁を長持ちさせるためのメンテナンス方法について解説していますので、参考にしてください。
モルタル壁の最大の敵「浸水」を防ぐ重要性
モルタル外壁は、意匠の幅が広い
モルタル外壁とは、セメントと砂、水を練り合わせた材料を下地として塗り、その上から塗装や各種仕上げ材で整える外壁工法を指します。
日本の住宅では古くから広く用いられてきた外装材であり、とくに1990年代前半頃までに建てられた住まいで多く採用されてきました。
大きな特長は、職人の手仕事によって仕上げるため、意匠の幅が広いことにあります。リシンやスタッコ、吹き付けタイルなど多様な仕上げ方法があり、建物に個性的な表情を与えられるため、デザイン性を重んじる住宅で選ばれてきました。
加えて、モルタルは無機質系の素材であることから耐火性にも優れています。火災時に燃え広がりにくく、延焼を抑制する効果が期待できるため、安全面においても評価されています。
さらに、サイディングボードのような継ぎ目が生じないため、全体が一体化した滑らかな外観に仕上がる点も魅力の一つです。
水分侵入が劣化を早める
モルタル外壁が傷む主な要因は水分の侵入にあります。
ひび割れや塗膜のはがれた部分から内部へ水が入り込むと、寒冷地などでは凍結と融解を繰り返す現象が起こり、いわゆる凍害によって既存の亀裂がさらに広がるおそれがあります。
とりわけ通気層を設けていない構造では湿気が内部にとどまりやすく、凍害の影響を受けやすい傾向が見られます。モルタル外壁の耐用年数は、通気層の有無や建てられた時期、日頃の手入れの状況など複数の条件によって左右されます。
一般に通気層が確保されている建物は耐久性が比較的高く、およそ40年〜50年程度が目安とされています。それに対して通気層を持たない仕様では、30年〜40年ほどが一つの目安と考えられています。ただし、定期的な点検や塗り替えなどを適切に実施すれば、使用可能な期間をさらに延ばすことも期待できます。
浸水対策には塗装が有効
モルタル外壁の維持管理において、塗装はとりわけ重要な役割を担う方法の一つといえます。
表面に塗膜を形成することで紫外線や雨水から下地を守り、劣化の進行を抑える働きが期待できます。また、防水性を高めることでひび割れの発生を抑制し、建物の外観を良好な状態に保つ効果もあります。
塗り替えの時期は、採用する塗料の性能や現在の外壁の傷み具合によって変わりますが、目安としてはおおよそ10年〜15年に1回の周期で実施することが望ましいとされています。早期に防水対策を行うことで、将来的に発生しうる張り替えを防ぎ、コストダウンにつなげることができます。
ひび割れ再発を抑える「弾性塗料」の選び方
モルタルの弱点はひび割れ
モルタル外壁における代表的な弱点として挙げられるのが、いわゆるひび割れ(クラック)の発生です。モルタルは乾燥時に収縮しやすい性質を持ち、さらに地震や車両通行などによる振動の影響も受けやすいため、表面に亀裂が生じやすい傾向があります。
塗膜の表層に細かく現れるヘアクラックは比較的浅く、すぐに雨漏りへ直結する可能性は高くありませんが、そのまま放置すると劣化が進行するおそれがあります。
一方で、幅や深さが大きい構造クラックは下地部分にまで達しているケースが多く、そこから雨水が入り込む危険性が高まります。ひび割れの種類を見極め、早期に適切な対処を行うことが重要といえるでしょう。
弾性塗料でひび割れを防止
弾性塗料はゴムのような柔軟性を備えた塗料で、外壁に生じるひび割れへの対策として用いられます。
伸び縮みしにくい一般的な塗料の場合、外壁に亀裂が入ると塗膜も同時に割れてしまい、その隙間から雨水が入り込む危険性が高まります。
その点、弾性塗料は高い伸縮性によって下地の動きに追従しやすく、塗膜が破断しにくいという特長があります。こうした性質から、ひび割れが起こりやすいモルタル外壁との相性が良いと言われています。
モルタル外壁は金属サイディングや窯業系サイディングとは異なり、経年変化によってクラックが発生しやすい外装材です。
生じた隙間を通じて雨水が内部へ浸入すると、下地に使われている木材を腐食させる要因となり、結果として建物の構造部分にまで悪影響を及ぼすおそれがあります。そのため、外壁の特性に合わせた塗料選びと適切な保護対策が重要になります。
艶消しタイプを選ぶことでモルタルの風合いを活かすことができる
弾性塗料の中でも艶を抑えたタイプを選択すれば、モルタル特有の落ち着いた質感を保ちながら防水性を高めることができます。
たとえば「弾性ベルアート」は、デザインローラーやガン、こて、刷毛など多様な施工方法に対応しており、作業の仕方によってさまざまな模様や表情をつくり出せる点が魅力です。
加えて、高い弾力性によって下地に生じた細かなひび割れにも追従しやすく、雨水の浸入を抑える効果が期待できます。
さらに、特殊な設計によりかびや藻といった微生物による汚れに対しても強い耐性を示し、長期間にわたり清潔な状態を維持しやすいことも特長として挙げられます。
業者選びで差が出る「下地処理」のチェック項目
ひび割れの種類に合わせた工法が提案されているか
構造クラックのように深くまで達したひび割れでは、適切な工程を踏まなければ十分な補修効果が得られず、再び同じ箇所に亀裂が生じるおそれがあります。表面だけを埋める処置では根本的な解決にならないため、下地処理を丁寧に行うことが重要です。
一般的な手順としては、まず既存のクラックに対してVカット工法を施し、補修材が内部までしっかり入り込むよう溝を整えます。その後、シーリング材の密着性を高めるためにプライマーを塗布し、シーリングを充填したうえで防水モルタルを重ね、最終的に塗装で仕上げます。
こうした工程をきちんと説明しない業者の場合、必要な作業を省いている可能性も否定できないため、注意深く見極める姿勢が求められます。
高圧洗浄の工程があるか
モルタル外壁を塗り替える際には、既存の塗膜や苔などの付着物を取り除くため、最初に高圧洗浄を実施するのが一般的です。
この工程は、外壁表面に残った汚れや劣化した塗料をしっかり除去し、塗装前の下地を整えることを主な目的としています。下地が適切に調整されていなければ、新たに塗る塗料の密着性や耐久性にも影響が及びます。
ただし、苔や汚れが広範囲に繁殖している場合には、高圧洗浄だけでは十分に落としきれないケースもあります。
そのような状況に応じてバイオ洗浄などの方法を提案できる業者であれば、建物の状態を踏まえた対応を行っていると判断しやすく、より信頼性が高いといえるでしょう。
30年間の総額を抑えるメンテナンス計画
10年を目安に外壁塗装を行う
モルタル外壁を長期間美しく維持するための代表的な方法として、10年単位での定期的な塗装によるメンテナンスがあります。塗膜が劣化する前に塗り替えを行うことで、防水性能を回復させ、外壁内部への水の浸入を防ぐことができます。
一般的にモルタル外壁の耐久年数はおおよそ40年程度とされますが、適切なタイミングで劣化した塗膜を補修・塗り替えることで、さらに10年以上寿命を延ばすことも可能です。定期的な塗装を継続することが、外観の美しさと建物の構造保護の両方に役立つといえます。
屋根の補修などセットで依頼できるタイミングを有効活用
雨樋や屋根の破損などで補修を依頼したいタイミングで外壁塗装もセットで依頼することで、施工費の総額を抑えることができます。
コスト節約につながる大きな要因としては、高所での作業時に行う足場設置が一回で済む点が挙げられます。
足場の設置作業は、10万円前後の費用がかかることが多く、この費用を一回分で済ませることができるため、大きな節約につながります。
火災保険が適用されるひび割れかを相談してみる
外壁のひび割れは、条件によっては火災保険の対象となる場合があります。
外壁を全面的に張り替える場合は高額な費用がかかりますし、一部の補修でも足場や作業費用により思った以上の出費になることがあります。そのため、ひび割れ修理に火災保険が適用できるなら、活用する価値は大いにあります。
一般的に外壁修理で火災保険が利用できるケースには、風災、落雷、雹災、物体の衝突、地震などが挙げられます。
例えば、強風や雷、雹、飛来物によって外壁にひび割れや欠損が生じた場合には、火災保険で修理費用をカバーできる可能性があります。
ただし、地震によるひび割れについては、地震保険に加入していなければ補償対象にはなりません。
どの外壁が保険の対象になるかは、専門の業者に現地で診断してもらうのが確実です。
まとめ
モルタル外壁を長く綺麗に保つためのメンテナンス方法について解説しました。
モルタル外壁は、デザインの幅広さや質感の良さから長年にわたり人気がありますが、時間の経過とともに劣化は避けられません。
ひび割れやチョーキングなどの症状が現れた場合は、塗装や補修を早めに行うことが重要です。日頃からの点検と定期的なメンテナンスを意識すれば、外観の美しさと建物の耐久性を長く維持できます。
外壁を守るためには、塗装によって防水性能を保ち、ひび割れがあれば適切に補修することが欠かせません。
業者に依頼する場合は、複数社から見積もりを取得し、比較検討したうえで信頼できる業者を選ぶことが大切です。こうした手順を踏むことで、モルタル外壁の機能と美観を長期間維持することが可能になります。